こんにちは!タンゴです。
皇位継承儀礼の中でも、重要とされる大嘗祭が11月に行われます。
大嘗祭の中心的儀式の大嘗宮の儀のあとに、参列者とともに天皇が食事をするのが大饗の儀です。
この記事では、
- 大饗の儀(大嘗祭)の場所(会場)・日程と参列者
- 大饗の儀(大嘗祭)の料理メニュー
- 大饗の儀(大嘗祭)の平成との違い
について、まとめました。
日本という国やその歴史、ルーツについて関心のある人の参考になれば嬉しいです。
なお、大嘗祭の儀式の内容や由来などについては、宮内庁の(2019.10.2付)資料をもとに情報をまとめています。
大饗の儀(大嘗祭)とは?場所(会場)・日程(時間)と参列者
大饗の儀は、大嘗宮の儀終了後に、天皇陛下が大嘗祭の参列者に斎田から産する新穀をもって調製した酒と料理を賜り、共に召し上がって安寧と豊作を祝う節会(せちえ)とされています。
節会とは、宮中において催される饗宴を指しており、新穀をもって調製した酒とは、白酒(しろき)と黒酒(くろき)です。
会場では古代の歌舞が演じられ、大嘗宮の儀の参列者が参加します。
16日の参列者は、289人ということです。
大饗の儀は、次の日程で行われます。
- 日時:11月16日、18日の昼
- 場所:皇居・宮殿(豊明殿)
1日に1回づつ、合計2回行われます。
大饗の儀(大嘗祭)の式の流れは、次のようなものです。
- 天皇皇后両陛下がお出ましになる。
- 天皇陛下のお言葉がある。
- 代表者が奉答する。
- 白酒・黒酒を賜る。
- 式部官長が悠紀・主基両地方の献物(両地方の特産である農林水産物)の色目(品目)を申し上げる。
- 天皇皇后両陛下に御膳・御酒を供し,参列者にも賜る。
- 久米舞(古代,久米部の行った歌舞)を奏する。
- 悠紀・主基両地方の風俗舞を奏する。
- 大歌(おおうた)および五節舞(ごせちまい)を奏する。
大歌とは五節舞の際に奏される宮廷伝来の古代歌謡で、五節舞とは舞姫によって奏される宮廷伝来の舞のことです。 - 挿華(かざし)を賜る。
挿華は、冠に挿す花飾りです - 天皇皇后両陛下が御退出になる。
大饗の儀の式場には、伝統に従って各種農林水産物の豊作を祝うため、悠紀・主基両地方の献物として両地方の代表的な農林水産物が陳列されます。
また、会場には風俗歌屏風と言われる、悠紀・主基両地方の四季の風景を描き、これに応じた和歌を書いた色紙を貼付した屏風が飾られます。
平成の時は、悠紀地方は秋田県、主基地方は大分県でした。
屏風絵は、悠紀地方を東山魁夷氏が、主基地方を高山辰雄氏が、それぞれ担当し、和歌は、悠紀地方を窪田章一郎氏が、主基地方を香川進氏が詠進、揮毫しました。
東京国立博物館での特別展のフライヤーに掲載されていました。
特別展『両陛下と文化交流』では《主基地方風俗歌屏風》(高山辰雄筆)に昭和と平成どちらにも通じる景色が美しく描かれており見事でした。「黒紅縮緬地吉祥文様刺繍振袖」と「黒紅綸子地吉祥文様振袖」には子供が喜ぶ可愛らしさと優しさ、品の良さが満ちていて感銘を受けました。 pic.twitter.com/pnssKSDsW8
— 山鳥まる (@metalgodknows) April 27, 2019
今回は、宮内庁が選定した日本画家が作業に着手しているとのことですが、画家の名前はまだ公になっていません。
【2019.11.16追記】
今回、屏風絵を担当したのは、日本画家の土屋禮一氏で、斎田が決まった5月13日から3ヶ月間と言う短い期間で作品を仕上げたそうです。
大饗の儀(大嘗祭)の料理メニュー
大饗の儀の料理は、株式会社紀文食品が、17,710,000円で、落札しました。
賜饌料理(しせんりょうり)と呼ばれる、宮中に招かれた祝賀参列者に飲食を賜わる祝宴料理がふるまわれます。
賜饌料理は、最高の食材、最高の技術をもって継承されてきた、おもてなし料理とされていて、紀文は、1971年に宮内庁から賜饌料理の拝名を受けています。
参考までに、平成の大饗の儀の際、天皇皇后両陛下の前に用意された料理の写真です。
参考:平成の大饗の儀のお料理/宮内庁監修の宮中 季節のお料理(扶桑社)より
黄色い文字は、供膳(きょうぜん)、黄色い丸は、御酒饌(ごしゅぜん)で、向かって左奥の小机の上には、挿華を飾った州浜(すはま)が、置かれています。
供膳は、飾りの意味合いが強い料理で、実際には手をつけません。
料理の内容は、次の通りになります。
供膳
- 追物(おいもの):建松(たてまつ)、平焼鯛
- 追物:建松、花盛焼雉(きじ)
- 高盛(たかもり):塩引鮭
- 高盛:巻烏賊
- 高盛:鱲子(からすみ)
- 平盛(ひらもり):蒸鮑
- 平盛:巻昆布
- 大飯(たいはん):斎田米(さいでんまい)
- a. 汁物:白味噌仕立、巻鯉(まきごい)
b. 汁物:潮仕立、鯛鰭(たいひれ) - 四種物(よんしゅもの):酢、醤(ひしお)、塩、酒
- a. 白酒(しろき)
b. 黒酒(くろき)
御酒饌
- 汁物:合味噌仕立、巻鱧(まきはも)、独活(うど)
- 取肴(とりざかな):松桜酒造花建島台盛、日の出蒲鉾、松風焼合鴨、鶴亀型薯蕷羹(じょうよかん)
- 作身(つくりみ):鯛・細魚煎雲丹和え(さよりいりうにあえ)、白糸大根、防風(ぼうふう)、紅蓼(べにたで)、花山葵
- 焼物:塩焼姿鯛、淡路結び金銀水引、紅白錦糸掛け、尾紙飾り
- 加薬飯:鯛曽保呂(そぼろ)、椎茸、干瓢(かんぴょう)、青豆、錦糸玉子、紅生姜
- 温酒
次の画像は、参列者の前に出された料理です。
参考:平成の大饗の儀のお料理/宮内庁監修の宮中 季節のお料理(扶桑社)より
饗膳(黒塗折敷)
- 焼雉
- 塩引鮭
- 巻昆布
- 飯:斎田米
- 汁物:潮仕立、鯛鰭
- 白酒
- 黒酒
酒饌(白木折敷)
- 汁物:合味噌仕立、巻鱧、独活
- 取肴:松桜酒造花建島台盛、日の出蒲鉾、松風焼合鴨、鶴亀型薯蕷羹
- 作身:鯛・細魚煎雲丹和え、白糸大根、防風、紅蓼、花山葵
- 焼物:塩焼姿鯛、淡路結び金銀水引、紅白錦糸掛け、尾紙飾り
- 加薬飯:鯛曽保呂、椎茸、干瓢、青豆、錦糸玉子、紅生姜
- 温酒
酒饌の内容は、両陛下の前に出されたものと同じですが、盛り付けの雰囲気はかなり違いますね。
お祝いの料理ですので、同じようなメニュー構成になると思われます。
大饗の儀(大嘗祭)の平成との違い
平成の代替わりに対して、今回の退位即位にかかる一連の儀式は、全体的に規模を縮小しています。
大饗の儀は、平成時には、2日間で3回行われましたが、今回は、2日間で2回行われます。
招待者の人数についても、平成の936人から700人(出席者はさらに少ない)に減らしています。
平成の大饗の儀の参列者は次の通りで、第1回237人、第2回232人、第3回263人の合計732人でした。
- 三権の長
- 国務大臣
- 衆参副議長・委員長・衆参議員
- 最高裁判事
- 東京都・秋田県(悠紀地方)・大分県(主基地方)知事
- 斎田の大田主と配偶者
- 政務次官
- 道府県知事
- 認証官
- 事務次官
- 各界代表
平成の大嘗宮の儀の参列者は、最終的に520人でした。
今回は、670人と報道されていますので、大饗の儀の1回ごとの参加者は少し増えそうです。
会場は、平成時も豊明殿で行われました。
なお、國學院大学で、大嘗祭の企画展が行われていますので、より詳しく知りたい方は、ぜひ足を運んでみてください!
会期:2019年11月1日〜12月15日(11月25日は休館)
入場料:無料
場所:國學院大學渋谷キャンパス内 学術メディアセンター地下1階 國學院大學博物館 企画展示室
住所:東京都渋谷区東4-10-28
おわりに
この記事では、大饗の儀について、平成との違いとあわせて、内容をまとめました。
天皇退位即位の一連の行事は縮小傾向にあるものの、基本的な儀式を行うに際して、それなりの規模になりそうです。
大嘗祭は、国事行為ではなく、神事であり、皇室行事(皇室の公的行事)で、即位に関連する一連の儀式の最後にあたります。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
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