こんにちは!タンゴです。
5月13日に行われた斎田点定(さいでんてんてい)の儀は、大嘗祭で供える米を育てる場所を占いで決めるという儀式ですが、非公開の宮中祭祀ということで、不思議に感じた人も多いことでしょう。
大嘗祭は、伝統的な皇位継承儀礼であると同時に、宗教的性格を持った儀式で、皇室行事にあたるため、かかる費用について議論される一幕もありました。
この記事では、
- 斎田点定の儀とは何か
- 亀の甲羅を使った亀卜とはどんな占いか
について、まとめました。
日本という国やその歴史、ルーツについて関心のある人の参考になれば嬉しいです。
斎田点定(さいでんてんてい)の儀とは何か
日本は、5月に令和という新しい時代を迎えることができました。
東京オリンピック2020のチケット販売がスタートしたり、気候も穏やかな季節に入り、なんとなく明るい雰囲気が感じられる昨今ですが、皇位継承の儀式はまだまだ続きます。
10月に、即位の礼の残りの儀式もあり、11月には、一世一代の重要儀式とも言われる大嘗祭が執り行われます。
大嘗祭は、天皇が即位後に初めて行う新嘗(にいなめ)祭を指し、天皇陛下が、国家と国民の安寧と繁栄を祈ることを目的に行う宮中祭祀です。
儀式は、皇居・宮中三殿の神殿の前庭に設営されたテントの斎舎で行われました。
この儀式の中で、神々に初穂を備えますが、この初穂を育てる水田のことを斎田(さいでん)と言い、その産地を決めるための儀式が、斎田点定の儀です。
都道府県の東を「悠紀(ゆき)地方」、西を「主基(すき)地方」として、それぞれ1箇所づつ選びます。
これを決めるには、亀卜(きぼく)と言うアオウミガメの甲羅を使った占いを行います。
新米の産地は、「悠紀田」は栃木県に、「主基田」は京都府に決まりました。
「斎田」の具体的な場所や生産者は、今後、宮内庁の協議で決定する予定です。
今秋の収穫時期には、神々に供える米を育てる斎田から米を刈り入れる斎田抜穂(さいでんぬきほ)の儀が行われますが、斎田の具体的な情報については、この少し前に発表されるということです。
亀の甲羅を使った亀卜(きぼく)とはどんな占いか
非公開で行われた斎田点定の儀ですが、実際にどのようなことが行われたのでしょう?
気になりますよね。
今回、「場所を決める」為に使われた亀卜と言う占いですが、これは、卜占や卜術と呼ばれる占いの一種です。
占いは、その目的や役割によっていくつかの種類に分類されます。
卜術は、偶然性を使ったもので、どんな使い方もできる汎用性のある占いの一つで、タロット占い、ルーン占いや易などが、これにあたります。
吉凶や方位といったシンプルなものから、動向や天変地異などまで、さまざまなことを占うことができます。
亀卜は、古くから国家の大事を占う伝統的な占いの一つで、焼いた亀の甲羅のひび割れや色を見て判断を行います。
古代律令国家においては、国家の大事を占う方法の一つとして、亀卜が採用されていた。
現在、亀卜は、皇室以外では、長崎県対馬で地域の1年の吉兆を占う「サンゾーロー祭」でしか、使われておらず、対馬の亀卜は、国の無形民俗文化財に指定されているとのことです。
斎田点定の儀で実際行われた亀卜の方法や手順は?
今回の儀式では、アオウミガメの甲羅が使われました。
アオウミガメは、希少であるため、小笠原村のアオウミガメ8頭分の甲羅を確保。
占いに使うための甲羅の加工は、宮内庁から依頼を受けた、正倉院(奈良県)の宝物修復に関わった経験のある東京都荒川区の鼈甲(べっこう)職人の森田孝雄さんが行いました。
縦24cm、横15cmで将棋の駒形に整形し、厚さは1.5mmの薄さまで削り、これを仕上げるのに、約1年もかかったそうです!
“亀卜は国内では長崎県対馬に残るだけといわれており、宮内庁は「古代から続く文化を次代につなげたい」としている。”
皇位継承儀式の米決める「斎田点定の儀」 甲羅、職人…確保に奔走 https://t.co/O0iHDHewHs @Sankei_newsさんから
— 祀亀洞 (@shikido_510) 2019年5月12日
次の画像は、斎田点定の儀で実際に使われた道具です。
供米を育てる地域を定める「斎田点定の儀」が始まりました。亀の甲羅をあぶって占う「亀卜」で産地を決めます。https://t.co/vIqE2rnjeg
— 毎日新聞 (@mainichi) 2019年5月13日
今回の、斎田点定の儀では、具体的にどのような手順で亀卜が行われたのかは明らかになっていませんので、亀卜に関する文献を元に、手順を解説します。
次の画像のように、亀の甲羅の裏面に墨で町形を書きます。
亀の甲羅を竹の箸でつまみ、桜の木を燃やした火であぶって「ト・ホ・エミ・カミ・タメ」と何度も唱えながら、下→上、 上→下、中央→左、中央→右、の順で焼きます。
火にかざしながら、唱える呪文は、ト=下・ホ=上・エミ=右・カミ=左・タメ=中央をあらわし、甲羅をその方向に動かしながら、唱えるそうです。
ひびの入ったところで亀の甲羅に水を注いで、焼けひびを明瞭にし、表面に現れたひびにより方位を判断します。
読み解き方など具体的な占い方法は秘儀として、明らかにされていません。
おわりに
この記事では、斎田点定の儀について、
- 大嘗祭のお供えの米の生産地を決める儀式
- 亀卜をいう伝統的な占いを使って決める
- 亀卜での判断方法は秘儀として明らかにされていない
- お供えの米は斎田抜穂の儀で収穫される
ということが、わかりました。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
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